佐藤英幸先生(江戸川病院放射線科)からRSNA2016の参加レポートを頂きました。
学会3日目になります。本日はphoton-counting CTのセッションがあり、今回のRSNAの中でも最も注目している内容になるので非常に楽しみです。
世界でもまだ数台しか稼働していないと思いますが、NIHからphoton-counting CTへの取り組みとして複数演題でていました。まずBM3Dというdenoising algorithmと、 iodineとgadoliniumのDual造影剤を使った心筋評価、冠動脈stentに対する分解能評価をしていました。
特に分解能に関しては0.2mmの分解能があり、bloomingもないので冠動脈stentのストラットが非常に明瞭に見えるとのことです。提示されていた画像もとても鮮明でした。また、K-edge imagingではstentと造影剤を弁別してstentのみを抜くことができるので再狭窄の評価も格段によくなるという話をしていました。その後にはphoton-counting CTで得られるアドバンテージとしてArtifact, Dose, Noise, spectral imaging, special resolution, contrast agentが考えられ、それぞれに関して解説をしてくれました。特に物質の弁別能力が非常に高く、骨抜きなんかは精度も良くて、簡単になるとのことでサブトラクションという概念がなくなるのではないかとも思いました。また、Dual Energy CTでも活用されている肺塞栓患者に対するiodine mapも提示していましたが、Dual Energy CTでは骨や縦隔など周囲構造もiodine mapになってしまっていたのに対して、photon-counting CTでは実際に造影剤が入っている範囲(肺野内のみ)をmappingすることが可能であり、今のDual Energy CTでやっているiodine mapとは次元が違うなと感じました。今後も動物実験を含めた研究が必要とのことでしたが、本当に次世代のCTの話を聞いているようで、このセッションを聞くだけでもRSNAに来る価値があるなとも思えるような内容ばかりでした。