富田博信先生(埼玉県済生会川口総合病院)からRSNA2016の参加レポートを頂きました。
セッションインプレッション
① Physics (CT Photon Counting)
Tuesday 10:30-12:00 PM | SSG12 | Room: S403B
昨年のRSNAでは、米国Mayo Clinicより数演題のPhoton Counting CTの発表があり注目していました。今年は、なんと9演題すべてPhoton Counting CT演題のセッションあり、その中で、プロトタイプであるとのことですが、フィリップス装置の演題発表もあり、公式(RSNA2016の演題)にて確認できる装置はシーメンスと2メーカーになりました。シーメンスは第2世代2管球装置SOMATOM Definition FlashのB管球側にPhoton Counting CT(FOV275㎜)の検出器を搭載しているもので、今年もその基礎データ、及び動物に対してのin vivo研究でした。一方フィリップスでは現在の2層検出器の装置筐体ではなく、Brilliance CTへのPhoton Counting CTシステムが搭載されておりました。気になるスペックは、画像ボクセルサイズで、0.2 ×0.2× 0.25mm、コンベンショナルなBrilliance 64は0.2 ×0.2× 0.33mm、ガントリー回転速度は1秒とのことで、空間分解能自体はかなり良さそうです。撮影電圧は120kVpで撮影していました。この装置では、冠動脈ステントファントムのブルーミングアーチファクトの削減効果を通常CTとの比較やガドリニウム ヨウド 金などのK吸収端イメージの評価をしていました。
Photon Counting CTを注目する上でのポイントは、アーチファクトの、撮影線量、ノイズ、空間分解能、スペクトラルイメージ(今回は4つのエネルギーにバンド幅Binを絞った画像)、造影剤(トレーサー)が挙げられ、それぞれにおいて、未来の画像診断には、新たな付加情報が得られる可能性が大いにあると思われる。
今回の演題にもあったが、ブルーミングアーチファクトに対してのアドバンテージ、ガドリニウムとヨウドのDualコントラストによるその精度、K吸収端イメージの実用化、更には、超高分解能画像なども報告され、非常に興味深かった。シーメンスPhoton Counting CTは、HR(ハイレゾリューション)モードではコリメータを分割し、0.225㎜のサブピクセルを使用して画像収集(再構成?)を行う。これにより32列×0.25㎜の収集が可能となりMTFはなんと20lp/cm@2%(再構成関数s80)と報告されていた。実際の画像は側頭骨(ファントムか?)、肺人体ファントムでの画像が提示され、超高空間分解能の威力が示唆された。このセッション以外にもPhoton Counting CTの演題はいくつかあったが、現状まだいくつかの改善点もあると思われ、特に被写体の大きさが(ファントムサイズ)40cm以上であると画質(ノイズ)に難ありとの報告もあり今後の開発が期待される。その問題点を克服するためかわからないが、Photon Counting CTのノイズ低減に寄与する3Dフィルタリングの性能評価をした演題もあった。
以上簡単ではあるが、セッション全体のまとめとして報告する。大変興味深いセッションで私の中では今後のCTの方向性も示唆できるかも?と期待し、渡米前から一番注目したセッションであった。時間があれば、Photon Counting CT関係、それぞれの演題についての解説もしたいと思う。
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