● 一般社団法人中部地区医師会検診センター
沖縄で初! FPDデジタル
マンモグラフィ装置搭載検診車を導入!
過酷な夏をものともしない、Pe・ru・ruのもたらす安心感
エアコン設置台数は一気に3台 ~消費電力はさほど変わらず
温度管理の話に戻ると、検診車の装置を乗せ替えるにあたって、改善しなければならないことがもう一つあった。空調の問題である。
当初、検診車内は、エンジンクーラーのみで撮影室、操作室、待合室の温度調整を行っていたが、車内が30℃以上になることが多く、その対策としてエアコン(エンジンではなく電気を動力源とする)を1台追加し、温度対策を行った。それでもなお、車内の温度調節は困難であり、検査をしながら「自分たちが倒れてしまうのではないか」と思うこともしばしばあったそうだ。それが乗せ替え後は待合室、操作室、撮影室の3ヶ所にマルチエアコンが設置され、車内の温度調節が一気に容易になった。
取材班が同施設を訪れたのは12月中旬、本州ではいよいよ寒さが厳しくなる時期だが、沖縄ではコートも必要がなく、少し動けば汗ばんでくるほどの暖かさであった。それでも検診車の内部は快適な気温に保たれており、これも3台も設置されたエアコンのお陰といえる。当然、エアコンを増やしたことによる電力の消費はいかほどかという懸念も出てくるであろうが、Pe.ru.ruであれば、その心配も要らない。24時間の通電が不要であることに加え、装置自体の稼働時の消費電力が少ないため、その分をエアコンに回すことができるようになったのだ。また、いくら南国沖縄といえど、真冬の1~2月はやはり寒い。冬場の検診車内ではカセットボンベタイプのストーブを重宝して使っていたが、車内で使用するには安全面でどうしても不安が拭えなかった。エアコンがヒーターの役割も果たすことができるため、今年からは寒い時の温度調節も安心して行えるようになる。検診車全体の電力の消費量はあまり変わらずに、1年を通して使える十分な空調設備を整えられるほど、装置の電力を抑えられるというのは、Pe.ru.ruの大きな利点である。
施設と検診車のダブルPe・ru・ruで操作をスムーズに
同施設では加藤氏たっての希望で、検診車と施設内部のマンモグラフィ装置を同時にPe.ru.ruにしている。実は、当時の施設内の装置は検診車の装置よりも新しく、目立ったトラブルは少なかった。それにもかかわらず、検診車と施設での装置を同時に替えたのは、加藤氏の中に「ソフトコピー診断まで実現してこそデジタル化である」という意識があったことと、内外での操作を同じにすることで、手順を迷わず、すんなりと検査が行いやすくなるという大きなメリットがあったからだ。同施設では施設内の超音波診断装置を別々のメーカのもので使用しているが、スタッフによっては片方の装置しか操作することができないケースがあった。その教訓を生かし、「同じような感覚で使える」という意味で施設内外の装置を両方ともPe.ru.ruにしたのだ。そのお陰で、スタッフも戸惑うことなく内外の装置での検査に慣れることができた。また、同施設では時たま外部の診療放射線技師に応援を頼むことがある。常勤ではなく、いつもここの装置を操作しているわけではないスタッフにとっても、シンプルな操作性に加えて施設内外が同じであることによって、大分使い勝手が良くなっているという。
また、保守点検についても内外で同じ業者が担当するようになったため、メンテナンスもスムーズに進められるようになった。
■検診車レイアウト図
・ トラックシャーシ。
・ ミニローダー搭載場所に室外機庫を設置。
・ 高電圧装置上部に操作卓を作成し、システムモニタ、キーボード、マウスを配置。
★検診車にもFPD搭載のデジタルマンモグラフィを搭載したいけれど、高い気温で壊れてしまわないか心配…。
→ かぶせるだけでOKな恒温器が冷却器の役割を果たすので、簡単に温度管理ができます。周囲の気温が10℃以下にならなければ恒温器への通電の必要はなく、通電する場合も、100Vコンセントでまかなえる、僅かな消費電力です(平均20W程度)。
★空調を整備したい!でも電力は大丈夫?
→ Pe・ru・ruの所要電力は4.5kWと小さいため、発電機の残りの電力をエアコンに回せますので、10kW以下の発電機でも、室内機3台のマルチエアコンを組合わせることができます。
■カワイイもの大好き女子が語る
女子同士だからこそ出るホンネ
内装へのこだわり
城間 逆に以前と変えたのは遠隔操作のボタン(アームリモートスイッチ:図2)を付けてもらったことです。
編集部女子 これはいつ使うんですか?
城間 例えばMLOで1方向撮影し終わって支持台を反対側へ回転させるときに、そのまま操作卓で動かせるんです。
編集部女子 なるほど。撮影し終わったら受診者様の近くに行くということをしなくていいんですね。
城間 受診者様との距離も近いじゃないですか。さらに上半身裸ですしね。なるべく受診者様には負担をかけない検査をしたいので。
佐久眞 私たちが歩く距離も少し減りますからね! なるべく楽したいなって。
編集部女子 ユーザ側としても少し楽ですね。
佐久眞 あと、室内を間接照明にしたので少し薄暗くてムーディーな雰囲気になってます。
城間 そうそう! 受診者様の恥ずかしいという気持ちも少しは和らぐかなって。
編集部女子 緊張して臨むことが多い検査なので少しでもリラックスできると検査も受けやすいですね。先程検査時間が短縮したという話が出ましたが、早く終わると終業時間も早くなったりするんですか?
城間 そうなったらいいですねえ。終業時間が早くなることはないのですが、他の作業にあてられる時間が増えました。巡回検診を終えて、検診センターに戻ってきてからの処理が早くなったので。フィルムを使用していた頃は現像、確認、読影準備など、大体1時間くらい作業をしていたのですが、今は10分程で終わります。USBメモリでデータを持ってくればいいだけなので。
編集部女子 1時間が10分になったんですか!?
有働 そうですね。さらに検診車に持って行くものも以前と比べて減りました。カセッテを大体多いときで10枚使用していたので、これと、サプライとレシーブマガジンも持ったりして大荷物でしたよ。これが今はUSBメモリ1つですからね。とても楽になりました。
城間 カセッテ10枚は重かったですねー。雨の日はビニールに入れて濡れないようにするんですけど雨が結構多いので、この運びにくいという状況は多かったです。湿度の管理もしっかりしないと乾燥してフィルムにスタチックマークが出てきたりしますし、ミニローダーが故障してパカッて生フィルムが出てきちゃったりしたこともありました。もう昔の話ですけど。
有働 あと、楽になったといえば装置の固定も楽になりました。以前使用していた装置はほぼ特注ということもあって固定も一苦労で。
佐久眞 12番までありましたよね。
有働 そう。固定の手順を番号で振ってました。それくらい段階を踏まないと固定ができなかったんです。
編集部女子 それが今ではカチャッとはめるだけでいいんですね。
城間 そうなんです。いろんな面において楽になったところは多いですね。
■ワンランク上の精度管理へ
検診車にPe.ru.ruを選択したのには、これまで挙げてきたことの他にも、施設画像認定でA認定を取得している、施設内設置用と同じ性能の装置である、という理由もあった。画像評価でAをとれるほど綺麗な画像を撮影することができるのであれば、装置としての問題はない、という信頼も導入の後押しをしたわけである。現在同施設ではアナログからデジタルへの装置の移行にあたって、日常管理と撮影条件に変更を加え、精度管理の強化を始めている。
これまで機器の日常管理は、目視管理を中心に行っていたが、それに対して加藤氏は「メーカ任せのままでよいのだろうか?」という思いを抱いていた。装置の入れ替えは、精度管理の見直しには絶好の機会だ。具体的には、ACR推奨RMI製156型ファントムとステップファントムでの目視管理に、さらにPe.ru.ruで行えるフローを追加した。
Pe.ru.ruは画像処理の影響を受けない設定で撮影画像を外部出力できる。その画像をImageJにてROI解析し、得られたデジタル値をエクセルにて管理している。ImageJでのROI解析には、あらかじめ作成したファントム内に計11か所のROIを指定したROIファイルを使っているので、きちんと位置を揃えて撮影すれば、簡単にデータを得ることができる。エクセルでの管理では、データをコピペするだけで管理幅に納まっているか自動判定される。さらにステップファントムの線形性とACR推奨RMI製156型ファントムのデジタル値との関係も管理しやすいようにグラフも自動的に作成される。このようなツールでROI内の平均値と標準偏差を管理できることは、日常的に行っていく上で助けとなり、非常に便利だ。これまで行ってきた業務の妨げになることなく、管理項目の追加ができるのである。
撮影条件の変更についての取り組みは、被ばく低減のために単にX線量を下げる、ということではなく「被ばくと画質をバランスさせて、被写体に最適なX線量を入れる」ということであった。精中機構の指導とメーカの協力のもと、特に厚みの薄い乳房を中心に、線量を上げつつ最適な条件を模索しているところだ。画質と被ばくのバランスを考え、AEC撮影時の基準線量を乳房厚が40mm時のCNRが10程度となるような撮影条件に変更したところ、ザラザラとしたノイズ感が低減して、目に見えて画質が改善された。この時の平均乳腺線量(AGD)が2mGy程度であったため、当面の間これを基礎値とすることにした。管理
幅については、AECの変動係数も加味して基礎値の±10%にて管理している。こうした取り組みを同施設では施設内のほか、検診車の装置でも行う予定だ。
現在同施設が目指しているのは、施設画像認定の取得である。「まだ新しい精度管理を開始したばかりでデータは出揃っていませんが、高濃度乳腺を中心とした症例が集まり次第、取得に踏み切りたいです」と加藤氏は意欲を見せている。
■一般社団法人中部地区医師会の概要と取り組み
~県民の健やかな生活のために
中部地区医師会は、日本医師会・沖縄県医師会との連携のもと医道の振興、医学、医術の発達普及と公衆衛生の向上とを図り以って社会福祉を増進させることを目的に昭和28年設立致しました。設立以来学術団体としての医師会活動はもとより、地域住民の医療福祉向上に努めており、昭和63年中部地区医師会館・検診センターを医師会活動拠点・地域住民の健康管理拠点として開設致しました。本県では平成22年平均寿命、全国1位だった女性が3位に落ち、男性は30位まで後退し、これから更に下がるものと予想されています。本会でも県民の平均寿命アップを目指し、人間ドック・健康診断・各種がん検診の啓発活動を積極的に行い、住民健診、企業健診、特定健診、特定保健指導、各種がん検診に力を入れ、地域住民の健康維持・増進に貢献するよう努めております。
特に婦人科検診では、女性に特化した女性医師による「レディースドック」を実施しており、乳がん集団検診(マンモ検査)では、マンモ検診車を会員施設に配置し、地域住人が受診しやすい環境を提供しております。また、子宮がん検診でも県内で初めて液状化検体細胞診検査(LBC法)を導入し精度の高い検診体制を確立しています。
在宅医療においては、地域のニーズに答えるべく平成7年に訪問看護ステーション、平成16年には訪問介護事業を開始、更に本県の医療従事者不足を補うため平成20年ぐしかわ看護専門学校を開校しており、多様化、複雑化した保健・医療・福祉ニーズにも応えられるよう柔軟に対応できる看護師養成を行っております。
このように、検診事業・在宅医療事業・看護師養成事業等を沖縄県・管内9市町村・沖縄県医師会・関係団体等のご指導・ご支援を仰ぎながら行っております。