キヤノンメディカルシステムズは2018年1月27日(土)、キヤノン本社(東京都大田区)にて画論25th The Best Imageを開催した。同イベントでは医療現場に役立たせるようそれぞれ画像に工夫が凝らされた研究結果の数々が発表され表彰された。
また、Made for Lifeアワーでは、阿部 修氏(東京大学)が座長を務め、粟井和夫氏(広島大学)による特別講演が行われた。「次世代イメージングへの期待」と題し、粟井氏はモダリティ別の最新知見やAIと画像診断の関わりについて語った。まずMBIRが従来のものより描出や病理の検出において臨床的有用性があることを紹介。またDECTとSplit bolus法による造影との併用で、1回の撮像で単純相、腎実質相、排泄相の画像を生成する新たなCT urographyの手法なども提案した。MRについては1回の撮像で複数コントラストの画像と定量値が収集可能となり、今後は定量値の精度の検証やデータ収集法の最適化が必要となるだろうと述べた。USはMRやCTでは難しい患部も判別できるようになる反面、測定者の間での測定の再現性や生検部位の客観性を確保する必要があるとも語った。
Deep Learning based reconstruction(DLR)については短時間での情報収集、演算、低線量撮影で高分解能の画像を作成することが可能としたうえで、高品質の教師データを得るために、高品質のデータ収集法や再構成法の開発が不可欠とも語った。氏は人工知能が今後、診断・治療戦略の立案を変革する可能性があると見解を示した。
発表式の後には御手洗冨士夫氏(キヤノンメディカルシステムズ代表取締役会長CEO)より挨拶があり、同社が民間企業の総本山となって世界の医療に貢献していきたいと述べた。また、先進医療の分野では再生医療や遺伝子診断等新たな領域や研究においてグローバルな視点でM&A等を実行し、今後も「Made for life」と「共生」という2つの理念を軸に、医療現場の想いを集め、業界の先頭を切ってイノベーションを起こしていきたいと今後の展望を語った。
最後に、瀧口登志夫氏(キヤノンメディカルシステムズ代表取締役社長)は「昨年開発した4次元X線CT装置『Aquilion ONE™』は厚生労働大臣賞を受賞する等の成果を挙げることができた。また、装置を先生方に臨床の現場で患者のために使っていただくことで「Made for life」の理念が実現すると考えている。その他の技術に関しても同様に、臨床例を全国で使っていただくことで価値を高めていき、広めていくことこそ使命であると感じている」と結んだ。
表1 CT部門
1~160列部門 | ||
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【最優秀賞】 | 国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 | 十二指腸癌 |
【テクニカル賞】 | 岩手医科大学附属病院 | 両側ICA病変 |
【特別賞】 | 藤田保健衛生大学病院 | 上肢腫瘤と血管奇形 |
【優秀賞】 | 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 | もやもや病 |
医療法人沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院 | 小型肺病変に対するVirtual Assisted Lung Mapping(VAL-MAP) | |
1~160列(心血管)部門 | ||
【最優秀賞】 | 医療法人社団寿量会熊本機能病院 | 下肢静脈瘤 |
【テクニカル賞】 | 医療法人愛仁会亀田第一病院 | プレート固定後の下肢CTAに対するSEMARの有用性 |
【優秀賞】 | 日本赤十字社姫路赤十字病院 | 胸郭出口症候群 |
医療法人社団高邦会福岡山王病院 | 3D下肢CTVenography症例 | |
Aquilion ONE部門 | ||
【最優秀賞】 | 独立行政法人労働者健康安全機構富山労災病院 | 右膝蓋骨骨折 |
【テクニカル賞】 | 独立行政法人地域医療機能推進機構JCHO九州病院 | 右主気管支食道起始症(気管支肺前腸奇形:BPFM) |
【特別賞/インプレッシブ賞】 | NTT東日本札幌病院 | 遊走脾 |
【優秀賞】 | 社会医療法人北九州病院北九州総合病院 | サブトラクションを用いた肝細胞癌(HCC)に対するTACE後の再発評価 |
半田市立半田病院 | 舟状月状骨(SL)靭帯解離 | |
Aquilion ONE(心血管)部門 | ||
【最優秀賞/テクニカル賞】 | 医療法人春林会華岡青洲記念心臓血管クリニック | 心臓サルコイドーシス |
【テクニカル賞】 | 一般社団法人厚生会仙台厚生病院 | 右肺底動脈大動脈起始症 |
【優秀賞】 | 島根大学医学部附属病院 | 完全大血管転位症における新生児冠動脈CTA |
医療法人社団清風会五日市記念病院 | 脊髄硬膜動静脈瘻 | |
岩手医科大学附属病院循環器医療センター | 大動脈弁狭窄症 |
表2 MR部門
1.5テスラ以下MR部門 | ||
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【最優秀賞】 | 松戸市立福祉医療センター東松戸病院 | 月経随伴性気胸疑い follow up |
【テクニカル賞】 | かなざわ内科クリニック | 造影なしでもSPIO(のような画像) |
【優秀賞】 | せきど脳神経外科クリニック | 硬膜動静脈瘻の疑い 後頭動脈 s状静脈間の瘻 |
金沢医科大学病院 | シェーグレン症候群 | |
金沢医科大学病院 | 頭部皮下血管肉腫 | |
医療法人社団長尽会長久保病院 | 排尿における膀胱・尿道の状態観察(ボランティア) | |
医療法人顕正会蓮田病院 | 左腎動脈瘤 | |
一般財団法人倉敷成人病センター | 子宮筋腫 | |
公益財団法人小倉医療協会三萩野病院 | Time-SLIPとASLが新生血管の評価に有用であった肩関節周囲炎の一例 | |
順天堂大学医学部附属浦安病院 | シェーグレン症候群 | |
【Elan of the year】 | 医療法人為久会札幌共立五輪橋病院 | 門脈圧亢進症の血流改変術前後に行う門脈血行動態シネ評価 |
3テスラMR部門 | ||
【最優秀賞】 | 杏林大学医学部付属病院 | 高分解能頭蓋内血管壁imagingによる梗塞巣責任病巣の診断・評価 |
【テクニカル賞】 | 社会医療法人社団慈生会等潤病院 | 肝腫瘍~同期撮像が困難な事例~ |
【優秀賞】 | 社会医療法人社団三思会東名厚木病院 | 乳癌(仰臥位撮像) |
広島大学病院 | 変形性膝関節症 | |
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院 | lgA腎症,腎細胞がん部分切除前評価 | |
日本郵政株式会社東京遁信病院 | 膝前十字靭帯再建術後 |
表3 超音波部門
血管部門 | ||
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【最優秀賞】 | 東邦大学医療センター大橋病院 | 外傷性仮性動脈瘤 |
【優秀賞】 | 徳島大学病院 | 右五指 動静脈奇形 |
一般財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院 | 外傷性動静脈瘻 | |
一般財団法人厚生会仙台厚生病院 | 下大静脈腫瘍塞栓疑い | |
医療法人北関東循環器病院 | 急性動脈閉塞 | |
心臓部門 | ||
【最優秀賞】 | 医療法人社団健心会みなみ野循環器病院 | 左室二腔症に僧帽弁副組織を合併した一例 |
【特別賞】 | 新潟県厚生農業協同組合連合会佐渡総合病院 | 左心室内血栓 |
【優秀賞】 | 医療法人社団健心会みなみ野循環器病院 | 心精査時に偶然発見された食道腫瘍 |
医療法人社団千栄会高瀬クリニック | 左室下壁より発生したpapillary fibroelastoma | |
滋賀県立総合病院 | 僧帽弁輪下左室瘤 | |
乳腺・甲状腺・表在部門 | ||
【最優秀賞】 | 東邦大学医療センター大森病院 | ソナゾイド造影超音波で病変性状と範囲が明瞭にとらえられた乳癌の1例 |
【優秀賞】 | 聖マリアンナ医科大学病院 | バセドウ病 |
独立行政法人筑後市立病院 | 腱鞘巨細胞腫 | |
医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院 | 悪性黒色腫 | |
腹部部門 | ||
【最優秀賞】 | 岩手医科大学 | 肝細胞癌 |
【優秀賞】 | 日本赤十字社成田赤十字病院 | 胃癌 |
公益社団法人函館市医師会函館市医師会病院 | 門脈腫瘍塞栓を合併したびまん型肝細胞癌 | |
医療法人大植会葛城病院 | 魚骨による虫垂穿孔 | |
一般財団法人厚生会仙台厚生病院 | 大腸ポリープ | |
運動器・リウマチ部門 | ||
【最優秀賞】 | 医療法人豊田会刈谷豊田総合病院 | 弾発現象を認めた手根管内脂肪腫の一例 |
【優秀賞】 | 東京大学医学部附属病院 | 超音波検査で原因不明の関節痛の原因を同定可能であった一例 |